「書く時間がない」を解決する、話すだけで完結する業務記録システムの作り方
営業の移動中、会議の直後、作業の合間—。 メモを取りたい瞬間は1日に何度も訪れますが、その都度PCを開いたりスマホでタイピングしたりするのは現実的ではありません。
そこで注目されているのが、AI音声入力によるメモ整理の自動化です。 スマホに話しかけるだけで、AIが自動で文字起こし・要約・分類まで行い、NotionやGoogleスプレッドシートに記録してくれます。
この記事では、音声入力を使った仕事効率化の具体的な方法と、実務で使えるツール構成を徹底解説します。
1. なぜ今「書かない日報」が求められるのか
日報が続かない3つの理由
多くのビジネスパーソンが日報の習慣化に失敗する理由は、以下の3つに集約されます。
- ①書く時間が確保できない:終業間際に慌てて書くことになり、内容が薄くなる
- ②記憶があいまいになる:1日の終わりには細かい出来事を忘れている
- ③フォーマットに縛られる:項目を埋めることが目的化し、本質的な気づきが残せない
これらの課題を解決するのが、音声入力による即時記録です。
「その場で話す」がもたらす3つのメリット
音声入力を業務に組み込むと、以下のような変化が起こります。
✓ 記憶が鮮明なうちに記録できる 商談直後、会議終了時、トラブル対応後など、記憶が鮮明なタイミングで即座に残せます。
✓ 移動時間を記録時間に変換できる 電車での移動中、車での運転後、徒歩での移動時など、スキマ時間が記録タイムになります。
✓ 心理的ハードルが低い 「書く」という作業には腰が重くなりますが、「話す」だけなら30秒で完了します。
2. AI音声入力による日報自動化の全体像
基本の3ステップ構成
AI音声入力によるメモ整理は、以下の3つのステップで構成されます。
【ステップ①】音声→文字変換
↓
【ステップ②】AI整理(ChatGPT等)
↓
【ステップ③】自動保存(Notion等)
手動版と自動版の違い
■ 手動版(初心者向け)
- 音声入力アプリで録音→文字起こし
- コピーしてChatGPTに貼り付け
- 整形された結果をNotionにコピペ
■ 自動版(効率重視)
- ZapierやMakeで各ステップを連携
- 音声入力後、全自動でNotionに保存
- プロンプトも事前設定済み
最初は手動版で慣れてから、自動化に移行するのがおすすめです。

3. 【ステップ①】音声を文字に変換する方法
音声入力の選択肢
音声を文字に変換する方法は、大きく分けて3つあります。
A) スマホ標準の音声入力機能
- iPhone:メモアプリのマイクボタン
- Android:Gboardの音声入力
- 【メリット】アプリ不要で即使える
- 【デメリット】長時間録音や自動保存は未対応
B) 専用の文字起こしアプリ
- Notta、Googleレコーダー、Clova Noteなど
- 【メリット】精度が高く、自動句読点・話者分離も可能
- 【デメリット】アプリのインストールが必要
C) ボイスメモ→外部サービスで文字起こし
- iPhoneのボイスメモで録音→Whisper API等で変換
- 【メリット】録音品質が高い
- 【デメリット】手動アップロードの手間がかかる
おすすめの組み合わせ
■ 外出先での即メモ → Googleレコーダー(Android)またはNotta(iOS/Android)
■ 会議や打ち合わせ → Notta、Clova Note(話者分離機能付き)
■ 社内での作業メモ → スマホ標準の音声入力で十分
4. 【ステップ②】ChatGPTで書き起こしを整理する
なぜChatGPTを挟むのか?
音声入力の文字起こしは、話し言葉のままで冗長になりがちです。 そのままNotionに保存しても、後から読み返しにくく、検索性も低くなります。
ChatGPTを挟むことで得られる効果:
- 話し言葉→書き言葉への変換
- 不要な「えー」「あのー」などのフィラー除去
- 内容の要約・構造化
- 日付・タスク・気づきなどの自動分類
整理の粒度を決める
ChatGPTに渡すプロンプトは、目的によって変えるのがポイントです。
■ 簡易版(要約のみ)
以下の音声メモを3行で要約してください。
■ 標準版(日報向け)
以下の音声文字起こしを、
①作業内容、②課題・気づき、③翌日アクション
の3つに整理してください。
■ 詳細版(議事録向け)
以下の音声を議事録形式で整理してください。
- 日時・参加者
- 議題
- 決定事項
- TODO(担当者・期限)
5. 【ステップ③】Notionやスプレッドシートへ自動保存
Notion連携のメリット
Notionは、AI音声入力との相性が非常に良いツールです。
Notionを使うべき理由:
- データベース機能で日報を一覧管理できる
- タグやフィルタで後から検索しやすい
- テンプレート機能で毎回同じフォーマットに統一できる
- Zapier/Make経由で自動追加が可能
Notionデータベースの設計例
日報を蓄積するためのNotionデータベースは、以下のようなプロパティ構成がおすすめです。
| プロパティ名 | 種類 | 用途 |
|---|---|---|
| 日付 | Date | 記録日 |
| 内容 | Text | 作業内容(AI整形後) |
| カテゴリ | Select | 営業/企画/制作など |
| 課題 | Text | 気づいた問題点 |
| 翌日TODO | Checkbox | アクションアイテム |
| 音声ファイル | File | 元の音声(任意) |
Googleスプレッドシートでの管理
シンプルに表形式で管理したい場合は、Googleスプレッドシートも有効です。
スプレッドシート管理のメリット:
- チーム全体で共有しやすい
- 集計・グラフ化が簡単
- Zapier/GASで自動追記できる
デメリット:
- 長文の記録には不向き
- 検索性がNotionより劣る
6. 実際に使えるプロンプト例とテンプレート
【パターン①】営業日報向けプロンプト
あなたは営業アシスタントです。
以下の音声メモを営業日報形式で整理してください。
【フォーマット】
## 日付
YYYY/MM/DD
## 訪問先・商談内容
-
## 成果・進捗
-
## 課題・次回アクション
-
【音声メモ】
(ここに文字起こしテキストを貼り付け)
【パターン②】タスク抽出プロンプト
以下の音声メモから、実行すべきタスクを箇条書きで抽出してください。
各タスクに優先度(高/中/低)を付けてください。
【音声メモ】
(ここに文字起こしテキストを貼り付け)
【パターン③】会議議事録プロンプト
以下の会議音声を議事録にまとめてください。
【形式】
- 日時:
- 参加者:
- 議題:
- 決定事項(箇条書き):
- TODO(担当者・期限):
- 次回予定:
【音声メモ】
(ここに文字起こしテキストを貼り付け)
プロンプトの保存場所
これらのプロンプトは、以下の場所に保存しておくと便利です。
- Notionのテンプレート:ワンクリックで呼び出し
- スマホのメモアプリ:コピペですぐ使える
- Zapierのステップ設定:自動化時に毎回同じプロンプトを適用
7. おすすめ文字起こしアプリ比較【2025年版】
主要アプリの特徴と料金
| アプリ名 | 対応OS | 精度 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|---|---|
| Notta | iOS/Android/Web | ★★★★★ | ChatGPT連携、話者分離、多言語対応 | 無料プラン有(月120分)/有料プラン1,200円〜 |
| Googleレコーダー | Android(Pixel推奨) | ★★★★★ | 完全無料、オフライン対応、自動要約 | 完全無料 |
| Clova Note | iOS/Android | ★★★★☆ | LINE連携、会議に強い、日本語特化 | 無料プラン有/有料プラン980円〜 |
| Whisper Memo | iOS/Android | ★★★★★ | OpenAI Whisper使用、精度最高レベル | 無料(英語UI) |
| Speechy | iOS | ★★★★☆ | シンプル操作、買い切り型 | 1,200円(買い切り) |
| Otter.ai | iOS/Android/Web | ★★★★☆ | 英語に強い、会議特化 | 無料プラン有/有料プラン8.33ドル〜 |
用途別のおすすめアプリ
■ 日本語の日報・メモ向け → NottaまたはClova Note(日本語精度が高い)
■ 完全無料で使いたい → Googleレコーダー(Android限定だが性能は最高レベル)
■ 英語の会議が多い → Otter.ai(英語特化、リアルタイム字幕表示)
■ 最高精度を求める → Whisper Memo(OpenAIの最新音声モデル使用)
8. 業種別の活用事例
①営業職:外出先での商談メモを即日報化
課題: 外回りが多く、帰社後に日報を書く時間がない。記憶が曖昧になり内容が薄くなる。
解決策:
- 商談直後にスマホで1分間話す
- 「今日はA社の○○さんと△△について打ち合わせ。先方の反応は〜」
- 帰社時にはNotionに整形済みの日報が自動保存されている
効果:
- 日報作成時間が1件30分→3分に短縮
- 記憶が鮮明なうちに記録できるため、内容が濃くなった
②在宅ワーカー:作業ログの自動分類
課題: 複数案件を並行処理しており、何にどれだけ時間を使ったか把握できない。
解決策:
- 作業の切り替わりごとに音声メモ
- 「今から案件Bのデザイン修正に入ります」
- ChatGPTが案件ごとに自動分類し、Notionの各プロジェクトページに振り分け
効果:
- 月末の請求書作成時に作業時間が一目瞭然
- 稼働時間の可視化により、生産性が20%向上
③チームリーダー:部下の日報を一括要約
課題: 部下5名の日報を毎日読むのに30分かかる。重要な課題を見落とすことも。
解決策:
- 部下には音声で日報を提出してもらう
- ChatGPTが全員分を要約し、課題だけを抽出
- リーダーは5分で全体把握できる
効果:
- マネジメント時間が30分→5分に
- 課題の早期発見・対応が可能になった
④個人事業主:経理・制作・連絡待ちを自動分類
課題: 日々のタスクが雑多で、何が未処理か分からなくなる。
解決策:
- 「今日の作業メモ」を毎晩音声入力
- ChatGPTが「経理」「制作」「連絡待ち」「その他」に自動分類
- Notion上でカテゴリ別に整理される
効果:
- タスク漏れがゼロに
- 週次レビューの時間が半減

9. よくある質問と注意点
Q1. 音声入力の精度が低い場合は?
A. 以下の点を確認してください
- 静かな環境で録音する(カフェや電車内は避ける)
- スマホのマイクを口から20〜30cm離す
- 句読点を意識して話す(「まる」「てん」と言う必要はない)
- 専門用語が多い場合は、アプリの辞書登録機能を活用
Q2. ChatGPTへの連携は有料プランが必要?
A. 無料プランでも可能です
- ChatGPT無料版でもコピペで使える
- API連携の自動化は有料プランまたはAPI料金が必要(月数百円程度)
- Zapierの無料枠(月100タスク)でも小規模利用なら十分
Q3. 音声データは残しておくべき?
A. 用途によります
残すべきケース:
- 会議や商談など、後で確認が必要な内容
- 法的証拠として残す可能性がある場合
不要なケース:
- 個人の作業メモや思考整理
- ストレージ容量を節約したい場合
Notionには文字起こし後のテキストのみ保存し、音声ファイルは一定期間後に削除する運用がおすすめです。
Q4. セキュリティ面は大丈夫?
A. 以下の点に注意してください
- 機密情報を含む場合は、社内規定を確認
- ChatGPTの設定で「学習に使用しない」をオンに
- Notion等のアクセス権限を適切に設定
- 音声ファイルのクラウド保存先を確認
企業利用の場合は、Azure OpenAI ServiceやClaude for Workなど、ビジネス向けプランの利用を検討してください。
10. まとめ:音声入力で業務記録を資産化する
AI音声入力がもたらす3つの変化
①記録の心理的ハードルが消える 「書く」という行為から解放され、思考を即座に外部化できます。
②記憶の鮮度が保たれる その場で残すことで、細かいニュアンスや感情も記録できます。
③データが資産になる 日々の音声メモが蓄積され、検索可能なナレッジベースに成長します。
今日から始める3ステップ
【STEP1】まずは手動で試す
- スマホの音声入力機能で30秒話す
- ChatGPTに貼り付けて整理させる
- Notionにコピペして保存
【STEP2】プロンプトを固定化する
- 自分の業務に合ったテンプレートを作る
- Notionやメモアプリに保存しておく
【STEP3】自動化を検討する
- ZapierやMakeで連携を設定
- 完全自動の「話すだけ日報」を実現
次に読むべき関連記事
AI音声入力をさらに活用するために、以下の記事も合わせてご覧ください。
📄 ChatGPTでメール返信テンプレートを自動生成する仕組み → 音声入力で顧客対応も効率化
📄 Notion×AIで議事録を自動化する仕組み → 会議の文字起こしを自動保存・共有
📄 AI×Excel:ChatGPTに分析式を作らせる現場活用術 → 蓄積したデータを分析・可視化する方法
💡この記事が役立った方へ
ChatGPTを業務に取り入れるための実践テンプレートを
noteで公開中です。
現場でそのまま使えるAIプロンプトや自動化の仕組みを紹介しています。


コメント